オピニオン

「悠仁さまを擁立せよ!」 象徴天皇制専門家が「愛子天皇は実現不可」と断言(宮本タケロウ)

文/宮本タケロウ

国民の8割が賛成する「愛子天皇」

先月初頭の敬宮愛子内親王の誕生日に際して、週刊文春オンラインに載せられた記事がある。記事のタイトルは【”愛子天皇”は是か非か】。記事でインタビューが掲載されたのは名古屋大学大学院准教授で、象徴天皇制が専門の歴史学者・河西秀哉氏だ。

「国民の8割が愛子天皇に賛成!」と言われおり、実際に女性・女系天皇に賛成する国民の声が高まっているのは事実だ。

しかし今回、私はこの河西氏のインタビュー記事を読んで、「愛子天皇」の限界を改めて感じてしまった。河西氏のインタビューを紹介しながら詳しく述べたい。

歴史学者・河西秀哉氏は愛子天皇賛成…

河西氏はリベラルな戦後型の国民の総意に基づく象徴天皇制を是としており、その発言は非常にリベラルであり、多くの国民と同様に女性・女系天皇に賛成をしている。

私自身の意見も、率直に言えば女性天皇も、女系天皇も認めるべきだと考えています。さらに長子優先、つまり男子が後で生まれてきても先に生まれた子を優先すべきだとおもいます。

(2019年12月2日週刊文春オンライン、河西秀哉氏インタビュー)

兄弟・姉妹間でも男ではなく、先に生まれた女子を優先すべきという河西氏は、さらに「男系男子の伝統」も次のように辛らつに批判する。

女性が天皇になれない制度となっているのは、家父長制が社会に色濃く残り、天皇が軍隊の長であった明治時代の名残ではないでしょうか。

戦後までなんとなく続いてきてしまった制度が破綻したのが現在の状況なのです。

(同上)

河西氏のこの見解は確かに私も首肯する。明治時代でさえ女性天皇が皇室典範の草案では認められていたからだ。

そして、いわゆる保守派が主張する「旧宮家の皇籍復帰」について、女性皇族と旧宮家の男性が結婚する案を「そんなものは政略結婚である」として、苛烈に批判を行っている。

愛子さまや眞子さま、佳子さまと旧皇族の男子を結婚させれば良いと本気で言っている人もいますが、これも時代に合わないと思います。

要は“政略結婚”。

少なくとも、天皇2代にわたって恋愛結婚だったのに、次世代になって旧宮家の方と政略結婚することになったら、時代に逆行するようで国民が引いてしまうと思います。

(同上)

優れた女性は人物本位で天皇になれる!

女性天皇・女系天皇に賛同する国民の意見を代弁するような見解を週刊文春という大手メディアで披露する河西氏の発言に、「愛子さまが天皇になるべき!」という国民の多くは留飲を下げたことだろう。

河西氏は「古代は女性でも“人物本位”で天皇に選ばれた」とこう述べるに至る。

そもそも男系派の人たちは、伝統、伝統と言いますが、歴史を辿れば女性天皇は普通にいる。

また、「歴史上の女性天皇は『中継ぎ』だった」という説も、現在の歴史研究では否定され、その時期の皇族の中で政治的に優れた年長の女性が天皇に即位しているとされています。

(同上)

以上、河西氏の論説を紹介してきた。歴史学者で象徴天皇制の専門家である河西氏が「男が天皇というのは明治時代の男尊女卑の残滓で、これからの時代は愛子天皇が相応しい」とハッキリ言っている意義は非常に大きいだろう。

期待を裏切る壮絶な結論

このように愛子天皇を大賛成するインタビューであるので、「令和の御代は国民本位で、歴史にも正統性のある直系の愛子天皇に繋げよ!」という結論があるに違いない…

と思いきや、なんと河西氏インタビュー記事の結論部分は、そんな期待とは全く正反対の結論になってしまうのである。

河西氏はこうインタビューを締めくくる。

女性、女系天皇の容認派が国民に多いとはいえ、無理に「愛子天皇」を強行すれば国論を二分することになりかねない。天皇制自体を揺るがしかねない事態にならないとも限りません。

(同上)

そして、極めつけはこれだ。

現時点では、女性天皇、女系天皇の是非の判断までは踏み込まず、まずは女性宮家をつくって、愛子さまをはじめとした女性皇族の方々に残ってもらう

将来、悠仁さまにお子さまが生まれないような場合は、愛子さまを含めた女性宮家の皇族の力を借りる。

お互い傷つけない妥協点としては、このあたりが落としどころになるかもしれません。

(同上)

いかがだろう?

眞子さま結婚問題を契機に反対が高まっている「女性宮家」を唱え、令和唯一の皇女・愛子さまと眞子さまや佳子さまを並列においている…

そして、なにより、愛子さまが皇位を継承する可能性は「悠仁さまにお子さまが生まれないような場合」に限るという見解…

これが、まさに、冒頭で私が述べた「『愛子天皇』の限界」である。

リベラルで女性・女系天皇賛成派・直系天皇推進派の河西氏ですら、現行法で悠仁さままでの皇位継承が決まっている状況で、愛子天皇を実現するのは不可能だと言っている現実は、まさに説得力しかない。

「国民の8割」に現実的なリテラシーが培われることを希望したい。

https://kikunomon.news/article/36473

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