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文/二コラ・ライト、監修/編集部
伝統の男系継承
日本の皇室は男系継承が伝統である。これは皆が認める言うまでもない事実だ。保守派はこの伝統を盾に「女系天皇などもってのほかだ」と主張する。
が、日本と同じく男系男子を貫いていたが、女性・女系の王位継承を可能にした国がある。
デンマーク王国がそれだ。
現在のデンマーク王家は1863年にドイツ貴族のグリュックスブルク家のクリスチャンがクリスチャン9世としてデンマーク王位につき、始まった。
現在の国王は女性のマルグレーテ2世であり、クリスチャン9世から数えればグリュックスブルク家(リュクスボー家とも)の5代目である。
デンマーク王家の男系男子継承
デンマーク王家は初代のクリスチャン9世以後、ゲルマン人の継承法であるサリカ法典に忠実に男系男子継承を続け、以下4代に渡り男系男子継承を続けた。
- クリスチャン9世(在位:1863年 – 1906年)
- フレゼリク8世(在位:1906年 – 1912年)
- クリスチャン10世(在位:1912年 – 1947年)
- フレゼリク9世(在位:1947年 – 1972年)
皆、先代国王の息子であり、明治・大正・昭和・平成…と直系長男継承が続いてきた日本とほぼ同じだと言えるだろう。
しかし、フレゼリク9世の代に問題が発生する。
フレゼリク9世は3人の子供に恵まれたが、全て女の子で、男の子供がいなかったのである。そこで、「男系男子」である王位継承法を守るため、1947年にフレゼリク9世が国王に即位すると、国王の弟であるクヌーズ王子が次期王位継承者と決まっていた。
どうだろうか? 面白いくらいに現在の日本と全く同じである。
国王・天皇には女の子供しかおらず、その弟が王位・皇位継承者となっているのが当時のデンマークであり、現在の日本だ。
しかも、国王・天皇の弟に男のお子様(悠仁さま、インゴルフ王子)がいるという点まで同じである!
国王の弟の利敵行為
しかし、デンマーク王家にはさらなる問題が発生した。
それは、なんと国王の娘が国民の人気が非常に高く(!)、反対にクヌーズ王子は不人気(!)だったこと。なにしろ、国王の弟はナチスドイツのデンマーク占領中に積極的にナチス・ドイツを支援した叔母ヘレネ(前王の弟の妃)によってナチスの諜報機関から積極的な工作活動を受けていたのだった。
言ってみれば「ナチスの手先」のような売国王子が次期国王という事態は利敵行為・国家の崩壊に他ならず、デンマーク王家と国民が採った方策こそは「女性・女系国王の容認」であった。
ナチスの占領から解放され、フレゼリク9世が国王に即位した1947年に親ナチスのヘレネ(前王の弟の妃)を国外追放にし、その6年後の1953年にデンマーク憲法が改正された。憲法改正により、女子の王位継承が認められ、王位継承者の地位はフレゼリク9世の長女マルグレーテに移った。
その長女マルグレーテこそ、現在のデンマーク国王マルグレーテ2世である。
日本の現状は?
さて、日本の現状を見てみよう。
終戦当時のデンマークとは国家の置かれた状況は異なるが、皇位/王位をめぐる問題は酷似しているし、何より、国王の娘が国民的人気を誇り、国王の弟が敵国の工作を受けているという点は特筆すべきであろう。
そう、現在の皇室も、朝鮮総連や暴力団関係者といった外国の反日勢力・反社会勢力との関係がささやかれるのだから、状況はかつてのデンマーク王室と奇跡のような一致としか思えない。
デンマークの王室はナチス・ドイツとの関わりを断絶し、新たな戦後をスタートさせるために、前王の弟の妃をも国外追放し、そして女性・女系容認に踏み切った。伝統である男系継承を辞めるのは、確かに相当な覚悟が要っただろう。しかし、男系男子を止めなければデンマーク王国という国家自体を救うことができなかったのである。
そして、王(前の)の弟の妻をも国外追放とした点も見逃せない。
日本の皇室は、このまま利敵行為を重ねて本当に良いのだろうか。
今こそ、潔くナチスと繋がった恥ずべき過去を、苦渋の決断によって、男系継承と共に断ち切ったデンマーク王家の英断に学ぶ時ではないだろうか。