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谷田川惣氏の質問に誠意をもってお答えする(宮本タケロウ) 

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谷田川惣氏からの公開質問状

宮本タケロウ Twitter

谷田川氏から以下の公開質問状と反論文が届いた。

宮本氏に公開質問状を送る。

①宮本氏による事実誤認の指摘が、私の論理構成の前提条件部分と言うなら、前提条件が崩れたことによって、その後の論理構成にどのような矛盾を引き越したのか説明せよ。

②天壌無窮の神勅にある「吾が子孫」は男系を意味するという私の論説に対して、当初「論理性がまったくない」と批判してきたが、私の反論に対して「論理性は理解するが説得力は弱い」と論理を転換したことについて、当初の批判について誤りを認めるか。

(谷田川氏Facebook)

(以下、谷田川氏反論全文リンク)

https://www.facebook.com/osamu.yatagawa/posts/2409867872438223
(谷田川氏Facebook)

質問には誠実に付き合うのが言論人としての責任だと思うので、誠意をもって回答する。

谷田川氏の論理構成

まず、 「①宮本氏による事実誤認の指摘が、私の論理構成の前提条件部分と言うなら、前提条件が崩れたことによって、その後の論理構成にどのような矛盾を引き越したのか説明せよ」 の点から回答する。

谷田川氏の『皇位継承事典』論文の「論理」を詳しく分析すると、以下の二つの3段論法となる。

神話解釈

  1. ニニギは天照大神の息子の息子(男系の孫)
  2. 天照大神はニニギに向かって「我が子孫が王」と言っている
  3. よって、(血統を重んじるなら)天照大神の言う「子孫」は男系子孫

血統の定義

  1. 血統には男系か非男系しかない
  2. 血統には女系は存在しない
  3. よって、(血統を重んじるなら)一般論として「子孫」は男系子孫

『皇位継承事典』の谷田川氏の論文は、この3段論法を重ねる形で記述しており(「血統を重んじるなら」という仮定は谷田川論文に明言されないが)、私は当初から、下段の「血統の定義」(特に②)が成立しないと言っているに過ぎないことは何度も述べている。

関連記事:谷田川惣氏への御忠言

「神が述べた言葉をどう解釈するか」に私は関心がない

上段「神話解釈」の3段論法についてはそもそも全く関心がないため、当初は議論の俎上に上げていなかったが、谷田川氏が反論にて一生懸命説明してきたので、単に「論理性は理解するが説得力は弱いのでは?まあどうでもいいけど」と感想を述べたまでである。

私が「どうでもいい」感想を述べたことで谷田川氏をムキにさせてしまったのなら申し訳ない。神話解釈を云々するのは私は無駄だと思っているので、忘れていただければと思う(最初からそう言っているのだが)。

これはダメではないか?

谷田川氏はまた、公開質問状に付随した反論文のなかで、女系という血統があることを述べなかった点をこう説明するが、これはダメだ。

大前提:血統は単系である
小前提:単系とは男系または女系である
結論 :血統を守るとは、男系または女系を守ることを意味する
    ※非男系または非女系は血統とは言わない
私は女系を続けることは現実的に難しいと考えたので、上記の女系と非女系をまるまる省略した
結論を導く上で何の影響もないからだ。 (中略)

三段論法の基本例

大前提:人間は食べなければ死ぬ、そして寝ないと死ぬ
小前提:谷田川は人間
結論 :谷田川は食べなければ死ぬ、寝なくても死ぬ

これについて、自分から寝ないで死ぬやつはいないだろう思い省略

人間は食べなければ死ぬ、という部分だけにした。

(谷田川氏Facebook)

これはダメである。なぜなら、谷田川氏は省略したのではなく、むしろ「女系という血統は存在しない」と、間違いを付け加えたのである。上記の3段論法の例で言うと、谷田川論文の論理はこうなるはずだ。

大前提:血統は単系である
小前提:単系とは男系であり、女系はない
結論 :血統を守るとは、男系を守ることを意味する

または、

大前提:人間は食べなければ死ぬ、そして寝ると死ぬ
小前提:谷田川は人間
結論 :谷田川は死ぬ

これが『皇位継承事典』の谷田川氏の記述だろう。

睡眠が死の原因の一つだと思い込み、「寝ると死ぬ」と書いてある論考に対して、「寝ると死ぬ」は事実誤認でトンデモだと主張しているのが私である。

前提が間違っていれば論理は成立しないのでは?

もちろん、「寝ると死ぬ」が間違いだったとしても、「食べなければ死ぬ」は事実であるが、

「私が言いたいのは人間が食べなければ死ぬということだけであり、その部分については論理構成及び結論に何ら影響は受けない。」

谷田川氏Facebook

と強弁するのは詭弁だろう。前提が間違っていたら論理は成立しないのではないか?

中学生レベルでも分かる文章を書けばよかった

次に「② 天壌無窮の神勅にある「吾が子孫」は男系を意味するという私の論説に対して、当初「論理性がまったくない」と批判してきたが、私の反論に対して「論理性は理解するが説得力は弱い」と論理を転換したことについて、当初の批判について誤りを認めるか」について。

何度も述べているように、私が言った「論理性がまったくない」の意味は、「女系という血統は存在しない」という事実無根の主張からの演繹が成立しないということであるし、また、これもすでに述べているが、「天照大神が言う「我が子孫」が血統を重視するものなら「我が子孫」は男系」という谷田川氏の神話解釈に私は関心がないので、当初「論理性が全くない」と述べた記事では捨象していたに過ぎないし、「論理性は理解するが説得力が弱い」と言ったのはいわば谷田川氏の神話解釈に対する単なる意見・感想の表明であり、反論ではない。

よって、当初の批判は誤りではなく、ましてや論理の転換などしていない。単に谷田川氏が誤読をしただけだと私は思っているが、拙筆により、谷田川氏や谷田川ファンに誤読をさせてしまったことは申し訳なく思うので、「もっとわかりやすい文章を書け」という批判であれば甘んじて受ける。

今回のやりとりで、小中学生にも分かる文章を書かなければ伝わらないオトナもいると実感したからだ。

谷田川先生、まだ質問はありますか?

以上、簡単ながら丁寧に谷田川氏の質問に答えた。谷田川氏の理論が崩壊していることは明瞭であり、これ以上多言を弄さないであろう。自らの無知を素直にお認めになることを希いやまない。というのも、谷田川氏の一連のみっともない駄々こねこそが、昨今の保守運動の評判を貶めている元凶に他ならないからである。

さて、これ以上なにか疑問があるだろうか? 谷田川氏におかれては、自らの欺瞞を曝け出し恥を重ねるよりも、ここで栄えある「転進」を潔く選ばれたほうが良いのではないか? 仮に谷田川氏が自らの誤りを認めても、決してそれを詰ることはないので安心してほしい。これも武士の情けというやつだ。

無論、あっても大歓迎だが、さらなる質問があったとしても9月半ばまで香港と中東へ取材旅行に赴いているため、回答が大幅に遅れることを予告しておく。


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