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宮本タケロウ Twitter
一条あやか氏からの反論
一条あやか氏が、私が「女性天皇の夫は旧宮家と決められていた」という事実を紹介した記事に関して反論をした。
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上記記事の一条あやか記事の論点を整理すると、こうなるだろう。
- 万世一系は明治時代の造語であり、大切にすべきではない。
- 女性天皇の夫が旧宮家でなくても、女性天皇の子供は皇位を継ぐことができる。
今回は以上の2点の反論をしたい。
万世一系は大切にすべきではないのか?
まず、①の点に関して。明治時代の造語であることは確かだから、それに異存はない。
しかし、だからといって「蔑ろにしてよい」ということにはならないだろう。「万世一系」という言葉は、単に岩倉具視が「皇統の継承のされ方」を説明した言葉であって、それ以上でも以下でもない。
一条あやか氏は、「万世一系という言葉が生まれたのが明治になって以降だから、万世一系はそれ以前の歴史にはない」と言いたいようだが、それは言葉尻を捉えているだけで本質を見ていない。
例えば、18世紀末にフランスで「化学反応の前と後で物質の総質量は変化しない」という「質量保存の法則」の科学上の発見があった。
一条あやか氏の言を踏襲すると「18世紀に質量保存の法則という法則が発見される前は、この世の物体の質量は変化した」となる。
まるでオカルト雑誌『ムー』の記事のようだ。バカバカしくて、笑えてくるだろう。
女性天皇の夫は皇統に属さない男でも良いのか?
次に、②だ。
私は、明治18、19年の皇室典範の草案の以下の一文を例示し、「女帝の夫は皇籍離脱した元皇族の男系子孫に限る」と主張した。
第十三条 女帝の夫は皇胤にして臣籍に入りたる者の内、皇統に近き者を迎ふべし。
「宮内省立案第一稿皇室制規」 (明治18~19年)
これに対して、一条あやか氏のはこう言う。
この第十三条には「皇統に近き者」とだけあり、定義に厳密さを欠いている。よって旧宮家の男系男子だけに限定している文章と解釈するのは誤りであろう。
「皇統に近き」とはどのようにも解釈可能でり、いわゆる非男系の夫をも想定していると言わざるを得ない。
結局は、愛子さまが非男系男子と結婚されてもその子が即位できると解釈するほうが調和的である。
愛子さまは即位し、そのお子様も天皇になれる! 「万世一系は男系男子だけ」は、現代の神話に過ぎない
「皇統に近き」が「どのようにも解釈可能」とは、「霊界が存在しない証拠はない」と言って、単なるぼやけた写真を心霊写真と解釈するトンデモ論者に似ていると思うのは私だけだろうか。
女性天皇の夫は…○○!?
「女帝の夫は皇胤にして臣籍に入りたる者の内、皇統に近き者を迎ふべし」の文章を吟味するうえで重要なのは、この皇室典範の草案が議論された明治18年の時代性である。
明治初期は、出家して僧侶となった皇族(いわば皇籍離脱)が還俗して、多くの宮家を創設した時代であり、東宮(後の大正天皇)の他に、8家も宮家が存在した。
そして制定された皇室典範は何世代降っても皇族の身分を永遠に保持すると言う永世皇族制がとられていた。
つまり、この時代に「皇胤にして臣籍に入りたる者の内、皇統に近き者」とは、江戸時代に皇室から公家に養子に入った皇別摂家を指しているとしか考えられない。
一条あやか氏は知らないようだが、皇族の男系子孫でも皇籍を離れたら「皇統譜」から記載が抜け、皇統に属さなくなる。よって、皇別摂家は「皇統に近き者」としか言いようがないのである。
皇胤にして臣籍に入りたる者の内、皇統に近き者
皇統譜に記載のない皇別摂家の男性も皇胤(皇族の子孫)である。しかし、皇統譜に記載がないので皇統には属さない。
よって、皇別摂家の男性と皇統譜に記載のある女性皇族の間にできた子は、血統としては皇族の男系子孫だが、あくまで皇統をベースで見たら、女系で皇統に繋がるということになる。
これが「皇胤にして臣籍に入りたる者の内、皇統に近き者」の意味である。
愛子さま天皇即位を支持する連中はポピュリズム
そもそも、皇室典範の草案で「女系」が認められていたとしても、あくまで男系が絶えたらの話であって、悠仁さまがいらっしゃるのに「愛子さまを天皇に!」というのはどう考えても論理的でないだろう。
一条あやか氏は「国民が愛子天皇を望めば、それは実現できる」と言い、「民主主義天皇制」なる妙な造語をさらけ出しているようだが、はっきり言ってトンデモだ。この程度の理解では皇室のまじめな議論などできるわけがない。
これ以上、愛子天皇を待望するオカルト大衆に迎合するのなら、菊の紋ニュースを即刻閉鎖し、ムーかTOCANAといったオカルト媒体で記事を書くのをお勧めしたい。